【会場】
三協フロンテア柏スタジアム(千葉県)
2018年4月14日14:00キックオフ
【スコア】
コンサドーレ札幌 2-1 柏レイソル
【得点】
(柏)9分 亀川
(札幌)13分 宮吉
(札幌)87分 都倉
J1残留まであと:勝ち点20(6勝2分相当)
札幌のシステムは3-4-2-1。
CBは右から進藤、ミンテ、石川。
ボランチは右から荒野、兵藤の2ボランチ。
WBは右に駒井、左に菅。
2シャドーは右に三好、左に宮吉。
1トップは都倉。
連戦、かつ、福森、宮澤、チャナティップが負傷のため、石川、兵藤、宮吉がスタメン。
石川、宮吉はスタメンでは今季リーグ初出場。
試合途中、三好に替わってヘイスが入った事により、都倉がシャドーの位置に下がったが、今回も大幅なシステム変更はなし。
【9分・失点シーン】
札幌ペナルティエリア前中央で起点を作られ、札幌右サイドで待ち構えていた柏の亀川にパス。
亀川はボールを受け取るとジリジリとペナルティエリア横から侵入を試みる。
縦に抜く素振りを見せると駒井の足が滑り、そのままペナルティエリアに侵入した亀川があまり角度のない場所からシュート。
ボールはかすかに進藤の足に当たりソンユンの上を抜けゴールの中に。
【13分・得点シーン】
柏のエリア奥深くから札幌のスローイン。
駒井が入れたボールを兵藤が受け取り、駒井、進藤、駒井、兵藤、とボールを回し右サイドで様子をうかがう。
兵藤からサイドライン際の三好にボールが渡ると、少しだけマイナス方向に動きゴール前にクロスを入れる。
ボールは都倉を越え宮吉の元へ。
宮吉は柏のDFの前に体を入れながらヘディングすると、ボールはゴール左隅に突き刺さりゴール!
【87分・得点シーン】
札幌ゴール前で柏の攻撃を稲本がストップ。
そのまま持ち上がり柏の選手を引きつけ、中央でフリーになっている駒井にパス。
駒井もドリブルで持ち上がり敵陣に侵入、左サイドで待っている都倉へパス。
都倉がドリブルで駆け上がり、ペナルティエリア内に入っていたジュリーニョめがけてクロスを上げるが合わず、ボールが流れ三好の元へ。
三好は柏の選手4人を引きつけてからゴール正面にクロスを送ると、正面にいるジュリーニョの頭上を越え、ゴール左隅にいた都倉の元へ。
都倉が柏の選手との競りあいに勝ちヘディングでシュートをすると、ボールは地面に叩きつけられながらゴール右隅に決まる。劇的ゴール!!
去年は厚別では圧勝したものの、アウェイでは苦手意識のある柏との一戦は、都倉のヘディングで劇的勝利!
この試合のポイントは3つ。
【ポイント①:ミシャ式対策とアンカーシステム】
前半、札幌はずっと攻められ続けました。
体感的には一番支配率が悪かったのではないでしょうか。
原因は柏の「ミシャ式対策」と「アンカーシステム」
札幌はボールを持つと後方からのビルドアップを始めようとします。
これに伴い徐々にシステムが5-2-3から4-1-5に変化していくのですが、柏はシステムが変化する前、最終ラインがボールを持った直後から最終ラインにプレスを掛け始めます。
しかも、2トップ+どちらかのインサイドハーフが上がって3トップ気味に最終ラインにプレス、さらにはもう片方のインサイドハーフ+アンカーがボランチにプレスをかけるため、そもそもボール運びがまだ拙い、そして福森がいない札幌の3バックはパニック状態。
全然前にボールを運べず、ソンユンに戻して大きく前に蹴りだすか、ミンテがパスミスをして札幌のターンが終わり。
せっかく苦労してボールを奪ったのに数十秒で奪われ柏のターン、の連続でした。
柏はしっかりミシャ式予習してきたな、という、教科書通りの対策に手も足も出ませんでした。
ここ最近は「ミシャ式?なにそれ美味しいの?(by大岩)」や「ミシャ式?じぶんたちのさっかーをやるだけ(by風間)」だったり「とりあえず走れや(byキジェ)」だったので、「札幌のミシャ式上手く行ってるな」と思いがちでしたが、しっかり対策を取られるとやはりまだまだですね。
それでも、奪われてもすぐに奪い返されれば攻守の切り替えの早さでもう少し戦えたのでしょうが、前半は柏のアンカーシステムにも手を焼きずっと柏のターンが続きました。
柏が最終ラインでボールを持つと、札幌は5-4-1になるのですが、ワントップの脇には常に柏のアンカー大谷が顔を出してボールを引き出します。
この時に札幌は、誰が大谷を見るのかまったく整理されておらず、ここから前線に一気にボールを出され、受けた江坂がボールをサイドに散らし、そこからゴールを脅かされる、という展開が続きます。
守備時にどこで奪うか、誰がどこを見るか、という事がまったく整理されていないため、ずっと受けに回り続けるしかない展開。
よく1失点で済んだな、というのが正直な感想です。
前半だけの印象なら、柏の下平監督の「この結果は納得いかない」というコメントも納得です。
【ポイント②:柏の改悪】
なんとか1対1で終え後半を迎えると、両者とも戦い方を改変してきます。
まずは柏。
柏は意図が不明ですが、前半あれだけ積極的に行っていた前線のプレスを止めてしまいます。
連戦のため省エネモードに入ったのか、選手が勝手に止めてしまったのかは不明ですが、札幌が最終ラインでボールを持ってもプレスがこないため、余裕を持ってボール回しを行えます。
ボール回しに余裕が出たら攻撃に迫力が増してくるのが札幌。
サイドにボールを入れると駒井や三好がボールを運び、主に右サイドから崩し続ける札幌。
逆に後手に回り始めると、アンカーシステムの「大谷がシャドー2人を見なければいけない」というデメリットが目立ち始めます。
特に宮吉はこのスペースを有効活用しようという動きを見せると、柏はインサイドハーフが徐々に下がり始め、すると2トップが孤立して攻撃が続かない、という悪循環に。
このため、後半はほぼ札幌のターン。
柏のこの改悪とも言える変更は札幌にとってとてもありがたい改変でした。
この改悪がなければずっと柏のターンで、もちろんずっとプレスを掛け続ける事はできなかったとしても、後半途中まで続けられれば札幌の選手の足が確実に止まっていたはずです。
逆転劇の大きなポイントになりました。
【ポイント③:最後は高さの暴力】
去年の厚別での試合の印象から「空中戦に弱いのかな?」というイメージがありますが、もしかしたら柏の選手にも同じ印象があったのかもしれません。
特に中山と中谷にはトラウマのようなものもあったのかも。。。?
1点目、柏の選手は明らかに都倉を警戒していて、それほど小柄でもない宮吉をフリーにしていてヘディングから得点。
その後も空中戦では圧倒的に優位に進める中、ジュリーニョ投入。
ジュリーニョは決して空中戦での競り合い、そしてヘディングが得意な選手ではありませんが、都倉と同じようなサイズの選手が前線に入るだけで、柏の選手は嫌がり警戒し始めます。
そんな中での都倉の得点シーン。
中央にジュリーニョが入ると、ジュリーニョにぺったりと付く柏のディフェンス。
その状態で都倉が柏のSBとの競り合いに持ち込み勝つ、という、一昨年からの空中戦必勝パターン、、、さらに言えば去年の厚別での柏戦で何度も見た光景でゴールを奪い勝利を得る事ができました。
パスを織り交ぜながらも最後は『高さの暴力』で殴るという、このパターン。
これはなかなか強いですねぇ。
そしてこれでまた、柏は札幌の空中戦に対する苦手意識が増した事でしょう。
同じリーグで戦う以上、こういう苦手意識を植え付けていくのって大事ですよね。
劇的勝利でした!!!
三好選手です。
宮吉や都倉のゴールは見事ですが、その全てを演出したのが三好のクロス。
三好はシュート精度は絶望的に悪いですが、クロスの精度は試合を追うごとに良くなっていますよね。
この試合でも、宮吉へのクロスは狙ってあそこに上げたと語っていますし、都倉へのクロスも、あれはわざとジュリーニョを越えて都倉へ上げたんでしょうね。
マークがきつい中、あの精度でクロスを上げられる技術は凄いです。
この2つのクロスがなければ勝つことはできなかったのですから、今回のMVPは三好です。
荒野選手。
ちゃんとミーティング聞いてる???
と聞いてみたくなるほど、フリーダムに動きますよね。
この試合でも、守備時に勝手に自分のポジションを放棄しボールに釣られ穴を作る動きを何度も行い、さらには兵藤と荒野の中での守り事も放棄、ボランチ2人が同じ動きをしている場面が目立ちました。
荒野のこの自由奔放な動きでも、宮澤のような「尻ぬぐい」役、そして臨機応変に役回りを変えられる選手がいればいいのですが、兵藤のように、宮澤より守備で自信のない選手と組むと、一気に荒野のデメリットが目立ちます。
こういう面では駒井の方がボランチの動きをわかってます。
今の札幌はボランチに絶望的に選手がいないため荒野がスタメンで出場できていますが、ボランチの層が厚くなれば荒野の出番はあっという間になくなります。
これは数年前からの課題ですが、もっと自分で気付いて直していってほしいですね。
今回の荒野の動きはとても不安だし不満でした。
今回のほかのトピックは以下の通り。
①宮吉初スタメンでゴール!もってるなぁ!!!
②都倉ってこういう劇的ゴール決める時の決定力ハンパないよね!
③駒井、今回はボランチでも上手くプレーしてたなぁ!
④菅、今回は勝負してた!
⑤宮澤の不在は痛いなぁと改めて思ったから早く帰ってきて!
⑥ジュリーニョはこれからだね!
こんなところでしょうか。
さて、次節もアウェイで浦和戦。
ミシャがめっちゃ煽ってたし相当気合入ってそう!しっかり勝って厚別開幕を迎えようぜ!